「実践テスト駆動開発」の感想

最初の2部は理論寄りというか、抽象的な話で読み辛かった。
この辺りで挫折した人は、むしろ3部辺りから挑戦して、必要に応じて読み返すと良いかも知れない。

3部からがいよいよ実践的な内容。
まずは動くようにするということで、GUI部分含め、最初からエンドツーエンドテストが動かせる環境を作って行く様子を示してくれる。
ただ、この部の内容を追うのは結構大変。
注目部分以外のソースはどんどん省略されて行くので、このクラスはどういう立ち位置で、他にどのようなメソッドがあったか、など覚えておく必要がある。
また、修正されたソース中の強調点(太字)もあくまで重要ポイントを示しているだけで、新たに書き足した内容全体を表しているわけではない。
本文の説明では、修正前のメソッドが元々どうなっていたか、覚えていることを前提にした体になっているが、
前述したような省略により、そのクラスのそのメソッドが前回いつ出てきたのかも追い難い。
全体の流れが分からなくなるほどではないので、細かいことは気にせず、分かった気になって読んでしまうか(自分はそうした)、最初から写経するのが良いと思う。
あと、jMockを知らない人は、先に付録を読んでおいた方が理解しやすいはず。

最後に、4部以降は状況に応じた手法的な話。ここが一番読みやすかった。

全体を通して、訳の質は良かった。誤字・脱字も数える程度。
また、予想していなかった効果として、EnumやSwingの書き方など、普通にJavaの勉強になった。
GUIやデータベースといった外部環境をいかに切り離して行くか、という点も非常に参考になる。
微妙にドメイン駆動設計を前提とした用語の使い方がされていたので、
先に「エリック・エヴァンスのドメイン駆動設計(Amazon)」辺りを読んでおくと理解しやすかったのかも知れない。

モックの使い方を覚えるのも目的のひとつだったけれど、いまひとつ理解出来た気がしない。
この辺りは写経するとまた違って来るだろうと思うので、まずはやってみる予定。
じっくり取り組む必要のある本だと思う。